盛田隆二『夜の果てまで』

  • Day:2006.06.29 18:37
  • Cat:BOOK
話の舞台は札幌。主人公の俊介は鹿児島出身の北大文学部の学生。文庫裏の紹介にあるとおり、「恋愛小説」。でも、何が言いたいのかよくわからない小説だったなあ~。

この本は、俊介の家庭教師の教え子・正太がもう一人の主人公という感じで描かれているんだけど、彼の描写はちょっと面白かった。俊介と、その相手裕里子(正太の義理の母)との関係が主題なんだけど、それよりも、正太の家族を見る目、家族を思う気持ちの描写の方が、ちょっと考えさせられるところがある。登場人物がほとんどどうしようもない人間っていう中で、唯一カッコイイと思える存在が中学生の彼です。まあ、実際にあんな中学生がいたら、かわいくないけど。

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嵯峨野(広沢池)

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休講があり、早めに学校が終わったので、嵯峨野・嵐山あたりでぶらぶら自転車に乗ってきました。上の写真は嵯峨野の広沢池。自宅から、3キロくらいです。週末はボートに乗ってる人がいたり、つりをしている人がいたり、家族連れも多く、賑わっているのですが、平日はひっそりしてました。

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これはトロッコ嵐山駅付近。こちらも平日のためかとても静かでした。


たまに読んでる内田樹の研究室に、面白い箇所が2つあったのでメモ。
■■コミュニケーションは「あなたの言葉がよく聴き取れない」と告げ合うものたちの間でのみ成立する。
「だから、もっとあなたの話が聴きたい」という「懇請」(solicitation)がコミュニケーションを先へ進める。
「あなたの言うことはよく分かった」と宣言したときにコミュニケーションは断絶する。
それは恋愛の場面で典型的に示される。
「あなたのことがもっと知りたい」というのは純度の高い愛の言葉だが、それは言い換えれば「あなたのことがよくわからない」ということである。
論理的に言えば「よくわからない人間のことを愛したりすることができるのだろうか?」という疑問だって「あり」なのだが、そんなことを考える人間はいない。
逆に、「あなたって人間がよくわかったわ」というのは愛の終わりに告げられることばである。
「あなたって人間のことがよくわかったから、結婚しましょう」というように言葉が続くことはない。■■

■■「味が決まる」というのは調理の出来不出来ことではなく、食べる私の側の「このような食感、このような歯触り、このような温度、このような盛りつけ、・・・のものを食べるという期待感」と出てくる料理の間の齟齬がなくなるということである。
「味が決まる」というのはかの内田百先生の言葉である。
それほどのものではなくても同じところに足繁く通ううちにだんだん美味しく感じられるようになるというのは私の経験的確信である。
かつて予備校講師時代に私は週二回高円寺の駅前のカレー屋で「チキンカレー、辛口、ご飯大盛り」というのを食べていた。
3年くらい食べ続けたら、もうそこのカレーなしではいられないカレー中毒になった。
そこまで症状が進むと、小走りに駆け込んだカレー屋で最初のひと匙を口中に投じるときの極快感はもう言語を絶し、背筋に戦慄が走るほどのものとなるのである。
私のカレー屋通いを怪しんだ予備校生たちはそのカレー屋を訪れて同じものを食したが、全員が「うまくねーよ、先生」と肩を落としていた。
そういうものである。■■

なるほど~!カレーの文字を見ると、ピカンティの開闢を思い出してしまいます・・・自分にとっては完全に「味が決まっている」メニューです。早く食べたい(w)

板東性純『現代人の往生要集』

  • Day:2006.06.27 19:00
  • Cat:BOOK
恵心僧都・源信の『往生要集』の、全10章のうちのはじめの3章(地獄・極楽篇)を著者がまとめたもの。平易で読みやすい。

以下抜書き;
■■仏教では、地獄は人が自己の悪業の潜勢力によって感受する環境と考えられています。ですから過去に悪業を造らなかった人には地獄は存在しないのです。たとえば、盗みを働いた人の目にはこれまでの友達の顔までが警官に見えるようなものです。盗まなかった人には、盗んだ人の覚える怖れは全くありません。また償いをしたり、謝罪したりして、悪業の余習(影響力)が尽きれば、その人にはもはや地獄は存在しないのです。ですから、仏教の地獄は、もともとどこかにすでにそういう場所があって、そこに落ちるか落ちないかが問題であるというのではなく、地獄を感受しているかいないか、現にあるかないかが問題であるといえましょう。*73

■■聖徳太子の制定された『十七条憲法』の第十条には次のようなお言葉が見られます。
「他人の良いと思うことを私は悪いとし、私の良いと思うことを他人は悪いとする。私は決して聖者であるとはかぎらぬし、他人は決して愚か者と決まってはいない。両方とも凡夫にすぎないのであろう。」*85

■■「中有」(あるいは「中陰」)というのは、「中間の存在」という意味で、これは死ぬ瞬間(「死有」)から次の生(「生有」)をうけるまでの間の「中間的な存在」なので「中有」と呼ばれ、肉体を持たず、精神的な存在で、普通の人の目には見えないので「中陰」とも呼ばれます。しかしこの時、以前の姿・形はとらず、次に生まれる生の形をとるということです。
そして、人が死んで次の生が決まるまでのこの期間は、長い人で四十九日であるところから、古来、七日目ごとにお経を読誦し、七回目の七日の終わり、つまり四十九日目を「満中陰」として、死者の冥福を祈る習慣があり、今でも日本で広く行なわれている*146-147

谷崎潤一郎『春琴抄』(1933年発表)

  • Day:2006.06.26 19:25
  • Cat:BOOK
文庫裏の紹介文から:

■■盲目の三味線師匠春琴に仕える佐助の愛と献身を描いて谷崎文学の頂点をなす作品。幼い頃から春琴に付き添い、彼女にとってなくてはならぬ人間になっていた奉公人の佐助は、後年春琴がその美貌を弟子の利太郎に傷つけられるや、彼女の面影を脳裡に永遠に保有するため自ら盲目の世界に入る。単なる被虐趣味をつきぬけて、思考と官能が融合した美の陶酔の世界をくりひろげる。■■


佐助が盲目になり、そのことを春琴に伝えると、それを春琴はひどく喜ぶ。それは、自分の醜い姿を佐助に見られなくて済むためでもあり、おそらく自分も傷ついたのだから付き添いの佐助もなんらかの傷を負うべきで、それを佐助が受け入れたことを喜んだのだと思う(サディスティックな嗜好を春琴は持っている)。またもしかすると、これほどまでに自分を想ってくれているのかと春琴が佐助の愛情・慈悲に気づいたからなのかもしれない(春琴はとてもそのような気持ちを抱く人間とは描かれていないが)。

そして、傷ついた佐助までもが、自分が盲目になったことをひどく喜ぶ。なぜなら、以前にもまして春琴の気持ちがわかるようになった、外眼が見えなくなったことで逆により内眼が見えるようになった、心と心が真に交わることができるようになった、春琴のかつての美貌を永遠に脳裡に抱くことができるから。

文体も句読点の以上に少ない特有のもので、なおかつ美しい「大阪ことば」で書かれている。

Wikipediaの「谷崎潤一郎」の項目にある、

■■舞台や時代を変えつつも、大正期以来の耽美主義、マゾヒズム、残虐性、ロマン趣味、幻想趣味、エロティズム、女性崇拝などが受継がれている点が注目される。こうした一連の作品の最終的な成果が「蘆刈」(1932年)と「春琴抄」(1933年)であるといえるだろう。特に短編「春琴抄」は谷崎的な主題をすべて含みつつ、かなり実験的な文体を用いることで作者の所謂「含蓄」を内に含んだ傑作となっており、その代表作と呼ぶにふさわしい。■■

というのに、同感。現実にはありそうもないなんだけれど、でもどこかにありそうな美しすぎる世界。美しさっていくとことまでいくと、怖いものになりますね。佐助の自分の目をつぶした行為も、それに対する春琴の対応も、フツーに考えると凄まじいものがある・・・

本物の小説はどんなに説明しても説明しきれないですね。やっぱり、谷崎はすごいです。そういえば、確か村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド~』は、谷崎潤一郎賞の受賞作になってるんですよね。どことなく、通じるものがあるかも。「ありそうもない世界なんだけど、でも、もしかしたらどこかにありそう」っていうあたりとか。

道民参加型「バカ北海道地図」

ひさびさに笑わしてもらえるサイトを見つけました!前々から思っていたんだけど、地図上で見ると、室蘭市と森町って海が間にあるけど、結構近いんですよね。それで、そこに巨大な橋を架ければ、札幌―函館間はぐっと近くなる。国道36号線~37号~5号と続く、札幌―函館間を見ても、室蘭以西は大きな町もないし、白鳥大橋をグーンと延長して森町にまで架けるようなビッグな計画はないものかとネットで探していたら、やっぱりありませんでした・・・が、こんな面白いものを見つけました!

バカ北海道地図

ちなみに架空の北海道地図です(笑)かなり面白い地図なんで、北海道出身もしくは、北海道在住の方は是非そちらのサイトに移動してご覧下さい。この地図では、室蘭と森に橋が架かってます。北海道内に、「ロシア領」と「ムツゴロウ帝国」の二つの独立地域があるのが、笑えました。

あと、同様にバカ世界地図なんてのもあります。いや~、アホすぎ。でも、こういうの大好きです。

ほかにも、
超東京地図
バカ日本地図
なんてものもありました。
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